宝物のBOROたち
かねてからお世話になっている
石徹白のT翁。

石徹白の歴史や文化、
暮らしの話しをいつも聞かせてもらっています。

その中で、「うちのおばあさんは
機織をしていた」ということを
おっしゃっていたので、
「古いたつけはありますか?」と
お尋ねしたところ、
「探しておくわい」。

そして今日、それらを見せていただきに
お邪魔しました。

それらは、もう、私にとって、
本当に宝物ばかりで興奮しまくり。

見たことのないような
布の組み合わせのたつけや、
あまりにもふわふわした気持ちのいい
麻の「はかま」などを見せていただきました。

そしてその中に、
「何に使ったか分からんのだが・・・」といって
見せていただいたのが、
あまりにも美しい刺繍が施されたもの。

黄金色にみえる糸はまぎれもなくここの土地で
栽培された麻の苧(お)。
そして地は、細かく織られた麻布に藍染めを施したもの。



思わず息を呑む美しさ。
意匠はこぎん刺しと限りなく似ていて、
でも、刺し方はこぎんではなく、刺し子風。

しかも、デザインは一種類ではなく
何種類もの異なるものが差されていて圧巻です。

一体何に使ったものの残りなのか
分からないと言いますが、
丸い形で、何かを入れる袋なのか、
足や手を包むものなのか・・・

なんとも大切に大切につくられ、
大切に大切につかわれ、
そして、大切に大切にとっておかれているということが
一目で分かる、光り輝くBOROです。
見ているだけで愛おしくて涙が出そうです。

博物館のショーケースじゃなくて、こうして、
ここのおばあさん(大正2年生まれの方)がつくられた、
というおうちに今もあることが、
より私の心に、大きく響くものを残しているように感じます。

さらに、これ。何でしょうか。



これは、赤ちゃんの「金太郎さん」的前掛けです。
これも胸のところに刺繍がされていて、
子供を思う母(もしくは祖母)の温かく包み込むような
愛情が溢れて来るものです。

すべて麻、ここで育てられ、績まれ、そして織られた麻布。

あんまり素敵なので、寸法をとらせてもらって、
我が子にもつくってみようと意気込んでいます。


ものづくりには
そのものをつくる人の心が
映し出される
ということを言いますが
私はこれらを見せてもらって
まさに、そのことが
いっぺんに
心の中に、ずしん、と入って来ました。

もちろん、心のこもった美しいものって
たくさん見てきて、感動してきた。

でも、やはり、今、私が住むこの石徹白で
それほど昔ではない時代において、
この土地で育てた麻で、
この土地の人が糸を績み、布を織り、染めて仕立てて
大切に大切に使ってきたものが、
今の私の目の前にある。
という事実。

私はこれらを自分の手元におかせてもらって
色々と調べたりしたい、と願望を持ったのですが、
それよりも、一目でも見せてもらえた喜びと、
燃やされることなく、大切に保管されていた背景にある
T翁のお気持ちを共有させてもらったように思え、
もう、心が満たされるばかりでした。


私もいつか、これらのようなものを
創り出すことができるのだろうか・・・

それは私の一生の挑戦、
一生の問い、投げかけのように思えてきます。

それほど、圧倒的で、
美しくて、輝いているものたちだったのです。


そして、やはり・・・
石徹白でも藍染めがされてきて、
それは欠かせないものであったことが
T翁に見せてもらった布ものたちから
分かりました。

どれもこれも基本的に藍染めが施されている。
だからこそ虫にも食われず
丈夫に使い続けることができたのでしょう。

さらにさらに、
今つくっているたつけやはかまのような
すべて直線断ちの縫い方だからこそ、
小さな布もすべてとっておいて、
後で何かにすべてきれいに使い切れる。

カーブでつくる洋服とは全く違うこの効率の良さ。
私はこの国の先人らに、本当に頭が下がる思いで
布たちを眺めました。


こんな素晴らしいものたちを
お借りすることができたので、
ゆっくりとじっくりと
手元にあるうちに
見せてもらい、
その心の部分を
学んでいきたいと思います。

T翁に心から感謝して。 
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カーブでつくる洋服とは全く違うこの効率の良さ。
私はこの国の先人らに、本当に頭が下がる思いで
布たちを眺めました。
uk moncler outlet 17/05/19 11:25

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