ガラ紡布の「たつけ」
この冬の間につくりたかったものの一つとして
ガラ紡布の「たつけ」があります。

ガラ紡とは、明治時代に日本で初めて開発された
紡績の機械で、ぽこぽことした手紡ぎのような風合いの
やわらかい糸が紡がれます。

その後、細くて均質な糸が引ける
西洋の紡績の機械が入ってきてから衰退の一途をたどり、
現在では、数えるほどの機械しかありません。

確かに、服をつくる者として、
裁断しやすい、扱いやすいタイプの布では
ありませんが、日本の紡績のはじまりという象徴として、
または、均質なものが安く普及する中で
手の温もりの感じられる布であるという側面からも
私は大切にしていきたいと思っています。

実際に、身にまとうと、とっても温かくて
やわらかい、そして優しさが伝わってくる布なので
特に冬用のコートや、パンツにふさわしいのではないかと
かねてから思ってきました。

ただ、流通しているガラ紡の布はほとんど全てが
生成り色なので、パンツに使うには汚れが目立つということと
冬なので少しダークな色が欲しいということで
なかなか作ることができませんでした。

そんなときに出会ったのが、
岐阜市内でガラ紡糸をつくっている会社さん、
マインド松井さんです。

マインド松井さんは、色々な経緯から、
ガラ紡の機械を入手され、
国産の綿花と海外の綿花、両方を材料として
ガラ紡糸を紡いでいらっしゃいます。

最終的には国産を目指しておられるのか、
今、九州で様々な方たちと連携され、
綿花栽培の面積を増やしてみえます。

加えて、染めも、草木染めでやってくださるということで、
九州のその地域で伝統的に栽培されてきた
「紫紺」を使った染めをお願いすることができました。

今回の布は、私の希望の色を叶えるために、
紫紺と化学染料の割立てですが、
将来的には、紫紺染めのみの布でも
作ってみたいと思っています。

とても上品な紫色です。


この色の、また、異なる織り方のガラ紡布で
コートを仕立てる予定です。
(といっていたら、春が来てしまった・・・)

そして、今回作ったたつけ。


ガラ紡の布は、糸が空気をはらんでいて、
織り方もふっくらしていることもあって、
融通が効く布だということが、
最近よく分かってきました。

いせこむこともできるし、
完成品を履いてみると
少しだけれどストレッチ性もある。

扱いは、思ったよりしやすいものです。

だから、パンツのフィット感もあるし、
スリムに作ったとはいえ、
窮屈な感じではありません。

さすがに、縫うのは、分厚い布であるため
慣れないと難しさはあるのですが、
慣れてしまえば、それほど難儀ではないです。

これまでガラ紡の手織り布でコートを作ってきたので
このたつけを仕立てるのは、難しいことでは
ありませんでした。


そしてこのたつけ、
これまでと異なる寸法の裁断で作りました。

これまでは、Sおばあちゃんに伺った
作り方をベースにつくってきましたが、
石徹白で目にするたつけは
もっとスリムなものが多かったので、
Rおばあちゃんにも作り方を聞いてみたのです。

すると、本当に少し違うだけなのに、
あるところの裁断寸法を変えると
とってもスリムなパンツになったのです。


たつけは、あらゆる部分で、
体に合わせるための調整がききます。

足の長さ、ももの太さ、ふくらはぎの太さ、
ヒップ、ウエスト・・・もう、ありとあらゆる部分が・・・

だから、色々つくっていても、
これ、という正解はなくて、
履く人のサイズや希望によって
変更することができるのです。

これまで、誰もが着られるような
ワイドなものばかり作ってきましたが、
やはり、たつけらしいといえば、
足首がしぼまっていて、
作業しやすいとされる
このタイプの形だと思います。

実際に、私もこの作り方でつくって履いてみて、
レギンスとしても使えることがよく分かりました。

しかも、ヒップとウエストのサイズが同じなので
妊婦でも全く問題なく着用することができて
産前産後、大活躍しそうです。わーい!


そう考えると、ただ、初めてたつけを作る方には
何をどこまでお伝えすべきかということが
迷うところです。

あまりお伝えしすぎると混乱されるようですし、
でも、せっかくだから、自由自在に
サイズを変更して、家族みんなのものを
お仕立てしていただきたい。

とはいえ、そこまで至るには、
やはり、少なくとも3、4本は作ってみないと
難しいと思うのです。


今、たつけの型紙をネットショップで販売していますが、
その作り方が、一人のおばあちゃんに教えてもらった寸法や
縫い方のみ描いてあるのも、
「正しい」解がないために、
実際に、石徹白でつくられてきたものを
まずは知っていただこうという考えがあるからです。
(縫い代の始末の仕方や、縫い方そのものも、
実際のたつけは千差万別なのです・・・)

そう考えると、やはり、たつけを作っていただくには
ワークショップで実際に、ことこまかく様々な方法を
お伝えするのが一番だというところに辿りつきます。
ここ、石徹白に来ていただければ、
昔使われていた、古いたつけをお見せすることもできます。

ということで、できれば、4月に入ったら、
またワークショップを開催しようと思っていますので
興味のある方は、ぜひ参加してくださいね。
詳細は追ってお知らせいたします。
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